新型コロナウィルスによる改正民法への影響
新型コロナウィルスにより、建築業界、リフォーム業界では、設備の入荷がままならなくなっています。
トイレ、キッチン、洗面台などの水回り、エアコン等、設備や備品は中国で生産されているものが多く、新型コロナウィルスにより、製造が滞っているからです。
このような状況下でも、賃貸物件の設備などは同然のごとく故障する可能性はあります。設備が故障すれば、大家さんは修理、交換などしなければなりません。
このような状況の中、改正民法が4月1日から施行されます。
新型コロナウィルス蔓延の中の新民法施行
ここで問題が!
改正民法611条の「一部滅失等による賃料減額」に影響がでます。
3月9日にアップした「改正民法がいよいよ4月1日から施行!」にも書きましたが、「給湯が壊れて、お風呂に入れなくなった。この壊れた原因が借主に責任がない。この場合は、お風呂に入れなかったことに対して賃料が減額される。」ということです。
旧民法では「借主は賃料の減額請求ができる」でしたが、改正民法では「賃料を減額しなさい」、つまり、「can(できる)」が「must(しなければならない)」になったのです。割合に応じて賃料を減額しなければならないというのが、改正民法です。
ここまでで何が問題かお気づきでしょうか。
・現在、コロナウィルスの影響で設備や備品がすぐに手配できない場合があり、故障した設備等を通常の状態に戻すのに、長期間を要してしまう可能性がある。
・にもかかわらず、4月1日以降、給湯が故障した、エアコンが壊れたなど、借主責任のない故障においては、貸主は割合の応じて賃料減額をしなければならない。
・コロナウィルスの影響で設備や備品が仕入れができないようなやむを得ない事情があったとしても免責にはならないという見解が多い。
つまり、4月1日以降、割合に応じて賃料を減額しなければならないのです。
と考えるのが普通ですよね。
まだ慌てないで下さい。
賃貸借契約の更新が4月1日以降にされたかどうかで変わってくる可能性があります。
2020年4月1日以降に①更新していない場合と②更新している場合、正確に言えば、①合意更新前と②合意更新後に分けて考えなければなりません。
新民法施行後の対応①
まずは、まだ更新されていない場合です。
大家さんは、まずは現行の契約書の内容を確認して下さい。
「賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。」(現行民法609条)
現契約書に上記のような条文があるでしょうか?
あれば、現契約書は旧民法が適用されるので、「賃料を減額しなければならない」とはならず、現行法通り「借主は賃料減額を請求できる」となります。
契約書に上記のような条文がなければ見解が分かれます。
・現契約書にない内容は、新民法が適用される
→ 賃料を減額しなければならない
・現契約書は現行民法のもとに契約されたものだから、現行民法が適用される
→ 借主は賃料減額を請求できる(現行法)
新民法施行後の対応②
合意更新がなされた後の場合は、改正民法が適用されるので、「賃料を減額しなければならない」ということになります。
では、大家さんはどのような状況下でも(今回のような世界的なウィルス感染による影響、リーマンショックのような経済状況、東日本大震災のような自然災害など)「賃料を減額しなければならない」のでしょうか。
私見ですが、これではあまりにも大家さんには負担が大きいのではないかと思っています。
2020年4月1日以降に合意更新する場合、改正民法用の更新書類の内容をどのようにするかを考えなければなりません。
3月9日にアップした「改正民法がいよいよ4月1日から施行!」にも書きましたが、特約によってある程度制限するしかないのではないでしょうか。
問題は、特約によって消費者保護法との関連でどこまで制限できるか、特約の制限が強すぎるため万が一無効となると意味がなくなってしまうということでしょう。
2020年4月1日以降に更新する場合には、不動産会社(管理会社、元付会社など)や弁護士さんとよく話し合って、どのような更新契約書にするか決めておくことをおすすめします。大家さん自身がどのような更新契約書にするかに携わることによって、万が一のときには心構えができていると思うので、万が一のときは対応しやすいと思います。
是非不動産会社任せではなく、大家さん自身も、あらゆる場面を想定し、あらゆる対応を考えておいて下さい。
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