親の財産は自分の血縁に引き継いで欲しい。子供のいない夫婦の相続問題
以前、知人と相続に関して話をしました。この話は、色々考えさせられる内容でした。
知人には、内縁の妻(籍は入っていない)がおり、今後子供を作る予定がないと。知人の親はそこそこ財産があり、その財産を将来的には、内縁の妻の親族には渡したくなく、甥や姪に相続できるようにしたいということで、籍を入れる気がないということです。
子供がいない場合の相続
Aさん(夫)とBさん(妻)の間には子供がいません。AさんもしくはBさんが亡くなったときの相続はどうなるのでしょうか。
例えば、Aさんが亡くなった場合、妻のBさんとAさんの兄弟が相続します。法定相続の場合の割合は、Bさんが3/4、Aさんの兄弟が1/4となります。
仮に、Aさんが亡くなった場合の遺言に、財産は全てBさんにとなっていれば、Aさんの兄弟姉妹には遺留分がないため、全てBさんが相続することになります。
では、この後、妻Bさんが亡くなったときの相続はどうなるのでしょうか。
この場合、Bさんの兄弟が相続することになります。
このように、子供がいない場合、夫が先に亡くなった場合は、ほとんどが妻の親族へと相続が続いていくことになります。
内縁なら相続はない
Aさん(男)とBさん(女)は内縁関係で二人の間には子供がいません。AさんもしくはBさんが亡くなったときの相続はどうなるのでしょうか。
例えば、Aさんが先に亡くなった場合、Bさんには相続権はありません。Aさんの兄弟姉妹が相続することになります。Aさんの兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、甥や姪が相続することになります。
なので、AさんがBさんに相続させたい場合は、遺言を残すしかないのです。
このように、AさんとBさんが内縁関係の場合は、Aさんが先に亡くなった場合でも、財産がAさんの親族へと相続が続いていくことになります。
親の財産は自分の血縁に引き継いでもらいたい
つまり、知人は、籍を入れることによって、自分が先に亡くなった場合、知人の親が築いてきた財産が、内縁の妻の親族側に相続されることを嫌がっているのです。それで、籍をいれなければ、親が築いてきた財産は、甥や姪に残せるという考えでした。
夫婦でないことは意外と不便なことや損をすることもあります。さらには相手の気持ちもあります。それでも、知人は、親の財産は自分の血縁に引き継いでもらいたいという考えから、籍を入れずに内縁関係を選択していたのです。
その後、知人は、親や兄弟姉妹から、将来的な相続とかどうでもいいだろ、それよりも同居人さんが可哀そうだ、という説得を受けて、めでたく籍を入れました。
相続に関して特殊なケースだったので、色々と考えさせる事案でした。
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